心の真実に涙する
-意識と深層のズレ-

自分のこと、みなさんはどのくらい理解されてますか。
わかっているようで、わかっていない。人間、実は、自分のことが一番
わかりにくいと思うんです。特に、自分自身の本当の気持ちというの
がなかなかやっかいなものです。意識の上ではこう思っているつもり。
しかし、心の底の底では違っていたなどということが、案外多いものな
んです。

そして、人が悩む時というのは、この意識と心の底(深層)とが一致して
いないために悩むということがあります。
例えば、会社で上司に不快感や怒りを覚えてしまう。また、学生なら男
の先生にからんでしまう。この場合、自分の父親に対する不満の感情
が、年上の男性もしくは父親と同年齢の男性に無意識にぶつけられて
いる場合があります。

人が人間関係に悩む大きな理由の一つに、親に対する不満や怒りの
感情が意識の底にある場合があります。そうした感情があるのに、それ
を本人が自覚できない。だから、本人は、何故自分が人と上手くやれな
いのか、何故人とすぐにもめたり、人の言動に腹立たしく感じたりしてし
まうのかわからない。
また、人の目がすぐに気になる人の中には、幼い頃から厳しい親の顔
色を無意識にずっとうかがいながら過ごしてきたのが原因だという場合
もあります。
そのことに気付くことができれば、その気持ちをなんとかしようとできる
のですが、なかなか自分だけでは気付くことはできません。

本当は自分は不幸な人間だと思っている。心の底では寂しいと感じて
いる。でも、そういうことには気付きたくない。それに気付くことは、あま
りにも辛い。だから、意識の上では、自分は幸せであり、満たされてい
ると思い込もうとします。ここで、意識と深層のズレが生じ、ことあるご
とに自分の気持ちにウソをつきながら過ごすことになります。
そうなると、己の本当の気持ちというのがわからなくなります。
そうやって、やがて、人の気持ちや物事の本質も見えにくくなっていき
ます。

−共感がプレゼントしてくれるもの-

そうなると、なかなか自分一人ではそのズレを修正できません。
では、どうすればよいのでしょうか。

それは、人に頼る勇気をもつことです。

自分の奥底の気持ちというのは、人との触れ合いの中でわかることが
多いものです。人に自分の気持ちを共感されて、はじめて人は自分の
本当の気持ちに気付くのです。
特に自分の中にある醜い感情や、認めたくない感情を認めるというの
は、とてもとてもつらいことです。そして、そういう気持ちを認めたら、今
までがんばってきた自分、今までがんばってきた人生を全て否定され
てしまうのではないかという恐怖すら覚えます。
しかし、そんなことはありません。

今まで辛かった、寂しかった、怖かった、ある人が許せなかった、自分
にウソをついてきて嫌だった、幸せになるのが怖かった、いつも目に見
えない誰かに遠慮して自分の好きなことを後回しにしてきた
人を信じられなかった、わけもなく腹が立つばかりだった、生きることに
何も価値を感じなかった。
こんな気持ちに誰も共感してくれるわけがないと思ってきた。

しかし、そんな気持ちをもし、誰かが受け止めてくれたら。「それは、辛
かったね」「今までよく頑張ってきたね」と言って肩に手を当ててくれた
ら・・・ああ、この人なら自分の気持ちをわかってくれるかも知れない。
この人にいままで気付かないようにしてきた自分の本当の気持ちを見
せてみよう。この人に心開いてみよう。
そして、受け止めてもらった時、今まで気が付かなかった自分の本当
の気持ちに気が付く。

すると、いつの間にか涙が出てくる。溢れるように流れ、止まらなくなる。
自分のこんな気持ちに一緒になって涙し、自分の幸せを本気になって
応援してくれる人に巡り会えたことに、悦びの涙がとまりません。

そして、自分の今までの悲しみ、苦しみ、寂しさ、そしてその気持ちをず
っと抱えてきた自分に、また涙が出てきます。辛かった、どうすることも
できなかった自分に涙が出ます。
しかし、それがそのことで流す、人生で最後の悲しい涙となるのです。

-自分自身と対話をする-

そうやって、人は、自分の心の真実の中に答えをもっています。答えは
自分の心の中にあるのです。心の真実を知る。大切なことです。
心の真実を知ることは、自分の未来を拓くことでもあります。
自分自身の心といつも対話することです。
心の中にある「小さな声」に耳を傾けてください。

意識と深層のズレが大きいと、自分の本当の気持ちを把握できません。
人は、自分の感情の把握率が高ければ高いほど、生きることが楽しくな
ります。逆に、自分の心の中に、無自覚なゾーンが大きければ、人は生
きることが辛くなるのです。
自分は今、嬉しいのか悲しいのか、楽しいのか辛いのか、安心している
のか不安なのか、満足しているのか不満なのか、触れ合っているのか
寂しいのか、リラックスしているのか緊張しているのか。
よくよく考えてみてはいかがでしょう。

そして、人に頼る勇気をもつことです。
自分の親・家族以上に、自分のことをわかってくれる人は、世の中たくさ
んいるのです。
そして、カウンセリングによって、クライアントがカウンセラーに生まれ変
わるのと同じく、人との心のふれあいによって、あなたはその時から人
の幸せを悦び、応援することのできる人に生まれ変われるのです。
そうなれることを、私は心より祈っています


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