−自発性とは-

自発性というのは、この場合「自発的に」という言葉のように、物事を自分から進
んでどんどん行ない、自分の力で取り組んで最後までやり抜く力のことです。
「自分から意欲的に」「自ら進んで」「一旦始めたらあきらめないで最後まで」。
一人の人間として物事に当たっていく時、これは大変尊い姿勢であり、子育てに
おいても重要な事柄ですね。

しかし、親や大人にいちいち何か言われなければ動かない子や、いっぺんにいろ
んなことを要求されて意欲をそがれていく子も多いと思います。
どちらにしても、そういう子は、こちらから何か「指示」を出さないと、つまらなそう
にして、遊ぶのも上手ではありません。意欲的な子は、こちらが黙って見ていても
やりたい事や遊びを次から次へと自分で見つけて動きまわっています。飽きるこ
とを知らないのです。よくもまあ、次から次へと思いつくものだと、感心してしまうほ
どです。
そういう子は、学校にいくようになっても、自分から進んで勉強をします。
特に自分が好きな科目、得意だと自覚している科目については、親に言われなく
ても自発的に取り組みます。
子供のやることですから当然ムラはありますが、おおむね自分でやろうという意欲
をもっています。もともと子供は「学ぶ」ということと自分の好奇心が一致すれば、
放っておいても自分から取り組もうとします。

-我が子の意欲を信頼する-

では、一体どうすれば、そういう「自発性」が育つのでしょうか。
先ず、幼い子はある時期から大人が何か手伝おうとした時、「自分でやる」と言っ
てきかなくなりますね。「自分でやる」と言った時は、できる限り自分でやらせてあ
げることです。洋服のボタンはめ、食器の後片付け、はさみで紙を切る遊び、高い
所から飛び降りる、家や車のカギの開け閉め等・・・
ちょっと無理かなと思えることでもやらせてあげます。時間がかかります。何度も
失敗します。そこで「やってあげようか」と声をかけると「イヤだ!」となるでしょう。
本人が納得するまでやらせてあげるのです。そして、上手くできた時こそ、大い
に誉めてあげるのです。「よくできたね」「がんばったね」「一人でやれたね」という
具合にです。
もし、失敗したら、「残念だったね」「今度はできるといいね」と言ってあげます。
また、上手くいかなくて「やって」と言って来たらその時はじめて手伝ってあげま
しょう。
こういう心境は、子供の意欲や能力を信頼しなければ、なかなかできません。
どうしても手や口を出したくなります。特に忙しい時や、出かける直前に「自分で
やる」が始まると、親としては「えっ、こんな時に」と思います。しかし、できるだけ、
その意欲をつまないようにしたいものです。出かける準備も余裕をもっておくこと
です。
そのくらいのことをしてもよいくらい、大切な時間だと思ってください。

-悦びによる働きかけ -

しかし、口や手を出さずに見守るということが、どうしてもできない親御さんがいま
す。そういう親御さんは、自分が幼い頃、親からそういう機会を与えてもらってこ
なかった可能性があります。親が厳しく、何でも細かく叱られて、失敗したらこっぴ
どく怒られた。もし、そういう接し方であったならば、自分の子供にもやはり同じよう
に接してしまうものです。人は、自分がされたことを無意識に我が子にも繰り返し
てしまうからです。特に幼い頃に強く働きかけられたことほど、大人になっても反射
的に行なってしまうのです。
要するに、親に脅かされて動かされたのと同じです。自分が幼い頃、「危ないから」
とか「早くしなさい」とか「だから言ったでしょ」などと脅かされたのです。これは、子
供のやる気や意欲を著しく阻害し、自発性の芽を心の底に封じ込めてしまう態度で
す。
子供の意欲を大事にする親は、子供を悦びで動かします。
「それをすることが、あなたの悦びにつながるのですよ」という働きかけです。
決して強制はしません。「親都合」ではなく、できる限り「子供都合」で接することが
できるのです。

そうやって、やる気や意欲、自発性を大切にし、子供の成長を「待つ」ことを「楽し
む」ことができるかできないかは、十年後、二十年後の我が子の未来大きく変え
ることになるでしょう



                       
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