いじめ問題対策

        いじめ問題対策の第一歩

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-いじめられる側にも問題はあるのか?-

いじめ問題については、実態は一様ではなく、それこそケースによって様々ですが、
スクールカウンセラーとして実際に学校の現場に身を置いている者としてこの問題を
考えていく上で重要だと思うことをいくつか挙げてみます。

まず、いじめられる人にも問題があるという観方。

いじめ問題を議論する中で、このような声や観方を耳にすることがあります。
しかし、学校側やいじめた側、周りの人間のこういう観方や考え方からは何も良いものは
生まれないし、これではいじめを受けた本人もその家族も浮かばれません。

実際にいじめが問題化した時に、私たちスクールカウンセラーは原因をあれこれ考えるよ
りも先に、いじめの全体像の把握に努めます。

ただ、ここで気をつけなければならないことがあります。それは「いじめの告白」に頼ること
のリスクの大きさについてです。

-なぜ、子どもたちはいじめを告白しないのか?-

いじめの告白というのは、我々人間にとって、実は最も打ち明けたくない、語りたくない種
類のものです。理由は以下のとおりです。

・その内容にどんなに正当性があっても、子ども達にしてみれば、それはいじめた相手の
告発行為だと考えるため、いわゆる「チクり」といわれる行為に対する強い抵抗感がある。
これは当然の感覚だともいえる。

・自分がいじめられたという惨めな思いは、自分の(人間の)プライドを著しく傷つけるもの
であり、そのような告白にも強い抵抗が生じる。

いじめという辛い屈辱的経験を語ることによって、告白する時にその辛い体験が思い出さ
れ、苦しみが倍加されることによる抵抗がある。

・さらに、こうした心理的な抵抗と共に、いじめを親や教師に打ち明けても、問題が良い方
向に行くとは思えなかったり、告白したことによって、却っていじめが酷くなることに対する
恐れがある。

こうした理由から、いじめの告白は私たちにとって、最も語りたくない告白だといえます。

-いじめの告白がないといじめは解決できないのか?-

しかしながら、いじめの有無を確かめるためには、この最も打ち明けたくない、語りたくない
いじめの告白に、私たちは頼ろうとします。
その結果、いじめられた本人も、周りの人間も口をつぐむか、曖昧なことしか言わなくなり、
結局、事実がうやむやになるか、確かな事実確認もできないまま、しっかりとした対策も打
てずに時が過ぎてしまいます。

つまりは、いじめの告白に頼りすぎてしまうと、事の真相が明らかにできないばかりか、却っ
ていじめをめぐる人間関係を悪化させるリスクもあるわけです。従って、私たちはいじめの
告白に頼り過ぎることなく、「いじめがあるのではないか」という仮説のもと、真剣に、本気で
事の真相を見極めるもう一つの方法として、徹底的な観察を行うことになります。

いじめられたと思われる子どもがいじめの告白に抵抗を示した時、「話したくないのなら、もう
話さなくてもいいよ。その代わり、先生が自分で調べて、必ず真相を突き止めてあげるから」
と、上手に情報収集に当たり、徹底的に観察を続ければ、「全く気がつかなかった」などとい
う事態には至らないでしょう。

-「そんなことしたら余計いじめが酷くなる」の真意-

それにしても、最後の理由「いじめを親や教師に打ち明けても、問題が良い方向に行くとは
思えなかったり、告白したことによって、却っていじめが酷くなることに対する恐れがある」か
ら、私たちは一体なにを考えなければならないのでしょうか。

なにかと考えると、それは子ども達が、自分の身近な大人達が、自分のいじめという問題を
適切に解決してはくれない、自分が安心できる対応をしてくれないどころか、不適切な対応
や動き方をすることで、益々問題が悪化してしまう可能性が高いと捉えていることを意味し、
我々大人への信頼感が大きく欠如していることを意味するのではないかと思うのです。

親がいじめを察知し、学校側にそれを伝えようとした時、よく本人が「そんなことをしたらいじ
めが余計酷くなるからやめてくれ」と訴えるのは、まさにそうした恐れを抱いていることにな
るのではないでしょうか。

ということは、逆に考えるならば、もし子どもが「この人なら、自分の問題を解決してくれるの
ではないか」と心底思える人が身近にいたとしたら、告白に伴う様々なハードルや抵抗にぶ
つかり、葛藤しながらも、子どもは勇気をもっていじめの告白をしてくれるのではないか。

そう考えると、我々大人が子どもの信頼を取り戻すことが、いじめ問題を考える上では、先ず
何よりも最初に考えなければならないことなのではないかと、現場でいろいろな問題に接し
ていて痛感します。

では、我々大人が子ども達の信頼を取り戻すためには、私たち大人は、何をしていけばいい
のでしょうか?

-いじめ問題で子どもたちの信頼を取り戻すためにできること-

私が現場で感じることは、大人が子どもの信頼を獲得するには、下手な助言や激励、意見、
説得、説教、決め付け、叱責、指導を捨て、謙虚に子ども達の声に耳を傾ける姿勢が求めら
れるのではないかということです。

ただ、これは今の私たち大人にとって、容易なことではありません。私たちは日頃、子供たち
や誰かから何かを打ち明けられた時、
即座に、まるで条件反応のように、助言や激励、意見、説得、指導などに終始してしまいが
ちだからです。

こうした対応は、子ども達の態度を益々硬化させる可能性があります。

今、TVや新聞でも、いじめ問題について、様々な意見が出てまいます。
しかし、そこに子ども達のナマの声がどれだけ反映しているのかというと、私は疑問を感じま
す。有識者やゲスト出演者が喋っていることも、どこまで子ども達のナマの声を聞いた上での
発言なのか疑問です。

子ども達の「僕はこう思う」「私はこうして欲しい」という声。様々な雑音にかき消されそうにな
っている小さな声をどこまで聞くことができるか。

この声を先ずは最大限に尊重し、そこから大人たちが謙虚に問題解決の道筋を子ども達と共
に考え、歩んでいこうというところからしか、私は問題解決の道は見出せなくなってきている
のではないかと思います。

追伸:

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参考図書:「子どもが本心を語るとき、閉ざすとき」 吉田 哲


【執筆者プロフィール】
鈴木雅幸:ハッピーライフ実践会 代表/ 心理カウンセラー
 
若い頃から様々な自己啓発書、心理学、カウンセリング書、ビジネス書、メンタルな書物を
読み続け、2001年11月、しあわせ研究室「こころの森」を立ち上げ、数多くのレポートを
アップし、同時にメール相談も開始し、サイト訪問者から高い評価を得る。
その後、さらに本格的にカウンセリング活動を続け、2004年7月には、ハッピーライフ実践会
を立ち上げ、代表となる。
実践会の会員は、2006年1月現在、1000名を超え、他に例のないインターネット通信講座
やe-bookセミナーを企画・販売している。
現在もカウンセリング通信教育を中心に、精力的な活動を行っている。
1967年生まれ、二児の父親でもある。

http://www.counselinglife.com

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